ランナー膝は様々な病態を指しますが、ここでは狭義の意味で腸脛靭帯炎を説明します。
腸脛靭帯炎は、骨盤の前部の出っ張りから太ももの外側を覆って膝の外側に付着している腸脛靭帯が膝関節の外側で摩擦して炎症が起こったものです。

原因は、膝関節の屈伸運動によって腸脛靭帯が大腿骨外踝（ふとももの骨の膝部分の外側の出っ張り）と接触しこすれることで炎症が起こることによります。

ランニングのような反復して屈伸を繰り返す運動やバスケット、バレーなどのジャンプの多い運動でも起こりやすく、主にオーバーユース（使いすぎ）が原因です。

休養不足、硬い路面での走行、足のアライメントによるもの（内反膝）が発生要因として考えられます。
レントゲンやMRIでは変性は診ることはできません。

治療方法は第一に安静。一度痛みが出るとランニングなどによって状態は憎悪しますので初期段階で安静に悪化させないことが重要です。

ストレッチや腸脛靭帯の大腿部のマッサージなどが回復を早める可能性がありますが、一番は安静。予防としてはランニング後にアイシングをすることです。氷などを用意するのが難しければランニング後に冷水のシャワーを太ももから膝にかけて1分ほどあてることも一般的で有効です。

当院ではランナー膝の症状の原因として、１番に考えられるのは身体のバランスの乱れと考えております。

身体のバランスは４つのタイプに分かれます。
1. 右に傾いて、上半身・下半身共に右に捻じれている。
2. 右に傾いて、上半身は左に下半身は右に捻じれている。
この場合は右脚荷重になっています。

3. 左に傾いて、上半身・下半身共に左に捻じれている。
4. 左に傾いて、上半身は右に下半身は左に捻じれている。
この場合は左脚荷重になっています。

これらの状態があると、筋肉も正常に機能しなくなるので膝の外側に負担がかかり痛みや違和感が出てきます。

また、両脚で50:50で立つことが出来なくなりランナー膝は体重がかかりにくい方に出やすい傾向があります。

身体のバランスの乱れにより両脚できちんと立てない状態で運動を続けることにより、休んで痛みが改善しスポーツを再開しても、運動量が増えていくと痛みが出てしまう原因となります。

また、２つ目の原因として内臓の肩代わり(内臓が疲れたり、障害を受けた時にひどい状態になる前に他の部分に痛みや違和感などの症状を出して黄色信号を出している状態)が起きている方は、
東洋医学的に関節、靱帯は肝・胆、筋肉は脾・胃、腱は心・小腸が深く関係しており、そこへのアプローチを刺さない鍼や７色のテープで行っていきます。

症状によっては、痛みが出ている場所や痛みが出る動きによってどの内臓の肩代わりが起こっているのか判別できるのでそちらへの処置を行います。